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花守さんの救出依頼が無事に成功しました、よ!
良かった良かった……!いや、本当に……良かった!

そんな訳で、SSっぽいもの。
最初書いていたのは敢えて護符作成しようとしてダメにするという話だった……
んですが、良く考えたら、墨折るとかする前に硯駄目にしますよね!
墨が折れる程の力ってどんだけ力任せなんだ!という……

なので、まぁ……こんな感じに。
そして、久し振り過ぎて、文章の書き方忘れるとか……
リ、リハビリ的にぼちぼちと書けたら書こうかなぁ……
誰得ですからどうなるか判らないですけども。



 箪笥をそっと開ける。途端にふわりと桐の香りが鼻孔を擽った。
 暫くそのままで居ると、嗅ぎ慣れた墨の香りも僅かに広がる。
 息を吸い、それらを体内に深く取り込み、これまでの慣習に倣い書道箱に伸ばし掛けた手をふと止めた。

 先の戦いで手持ちの護符はかなりの数を消費している。
 その補充は必須だと……頭では解ってはいるものの、果たして、今の自分の状態でまともな護符を認める事は出来るのだろうか?
 そう考えると自然と手が止まる。

 心穏やかに、意識を筆先に集中して、そうして初めて自分の使用する護符は生まれる。
 心穏やかでない時は筆を握るべきではないし、意識が乱れ易い状態で書かれたそれらは力の籠められていない『護符』と呼ぶ事も出来ない……ただの紙切れにしかならない。
 今の自分には、『ただの紙切れ』を量産する事は出来ても……『護符』を認める事は酷く難しいだろう。

 だから、先程とは違う……深く重い息を吐くと開けた時同様にそっと箪笥を閉めた。


 箪笥から手を放すと縁側からの視線に振り返る。
 穏やかな黒い瞳が労わる様に自分を静かに見つめていた。
 その双眸に安心させるように小さく笑い返してやると箪笥から離れて縁側へと向かい、視線の主である『家族』の隣に静かに腰を下ろす。

 見上げた空は雲一つない晴天。
 ……自分が知る『彼女』でなくなった『彼女』もこの春の空を見ているのだろうか。


 日差しの眩しさに翳した手を包む、真っ白な包帯に小さく唇を噛み締める。
 今なお疼く傷が完全に癒えるまで後二日……

 後二日……後二日の間だけは、やり場さえなく持て余す、この感情と向かいあおう。
 傷が癒えたなら……その時からは前だけを見よう。
 起きてしまった事実はどうしたって覆る事はないのだから。
 
 今度は皆で帰る。その為に―――



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