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 ツイッターでハロウィンに纏わる話を書くよー!と言ったらば、羽衣ちゃんの背後さんが反応して下さったので、羽衣ちゃんと優志のハロウィンに纏わる話をば。
 公開はちょっと遅くなっちゃいましたけどね。

タイトルは内容とは全く無関係です。
なんとなく、雰囲気です(笑)
そんな訳で恒例の駄文は続きから。
羽衣ちゃんの背後さんはキャラクターさんお借りする事快諾して頂きまして
誠にありがとうございました!
謹んで、あなたに進呈致します。返品可です(笑)





 その日、優志は一人で部室として使っている庵に居残って翌日のハロウィン用のお茶請けを用意していた。基本、南瓜を用いたお茶請けがメインになるのはハロウィンの宿命だけれど、南瓜ばかりでは飽きるだろうと栗や芋、これから時期を迎える林檎等を使ったお茶請けも用意する。

 古今東西のお茶とお茶請けに関する知識を身に付けたり味わったりすると言う【夜天薫香】の主旨に添えば和洋中様々なジャンルのお茶請けを用意出来るに越した事はないのだが、如何せん、優志とて専門職な訳ではないので用意出来る物は限られてくる。
 取り敢えず、メインのお茶請けは南瓜のプリンと決めていたからそれらの支度をスムーズに進めていたその時だった。
 カラリと庵の引き戸が開いた。
 そして、開くと同時に、元気の良い声が響く。
「ゆーし先輩っ!厨房貸してっ!」
 小振りの坊ちゃん南瓜と呼ばれる物をくり抜いていた優志はその手を止めて厨房から顔を出すとそこには息を切らせた羽衣が頬を紅くして仁王立ちしていた。
「どうした?雪片」
 優志がそう問えば、羽衣はにぱっ!といつも通りの笑顔を浮かべ
「厨房貸して欲しいのですっ!」
 と元気良く答える。
「構わないけど……寮の台所を使えば良いじゃないか。特に細かい規定ないんだろ?お前の所」
 言いながら作業へと戻ると後を追うように羽衣が厨房にやって来た。
「FALALAじゃダメなのっ!知られちゃうから!」
 勢い込んでそう答える羽衣の言葉に優志は大凡を察する。
「ああ……彼氏に知られちまう、って事か……ま、片付けちゃんとするんなら、好きに使えばいいさ。但し、物の配置は変えるなよ?ウチの厨房の主が使い易いように置いてあるらしいから」
 優志の答えに羽衣は手にした大きな鞄から材料をごろごろと取り出しつつ
「はーい!使ったら元の場所に戻しまーす!ってゆか、優志先輩!優志先輩は何作ってるの?」
 と、これまた元気良く問い掛けて来た。
「ああ、明日のお茶請けに……南瓜のプリンをな」
 南瓜の中身をくり抜き終えた優志の言葉に羽衣は弾けるような笑顔を浮かべる。
「羽衣もなのよ!」
 手にした南瓜を意味もなく掲げて何故かびしっ!とポーズを決めながらそう宣言する羽衣の様子に優志はくすくすと笑いを零した。
「雪片のは南瓜味のプリン、じゃないのか?俺のはくり抜いた南瓜の中にカスタードプリンを入れるタイプのだから、『南瓜のプリン』と言っても種類が違うんじゃないかと思うけど?」
 優志のその言葉にぴくり!と羽衣が反応する。
「南瓜を器にするの?!」
 優志が手にしたくり抜かれた南瓜と優志の顔を数回往復した羽衣の視線は優志の顔で止まった。
「羽衣も作る!」
 やはり無邪気な笑顔を弾けさせて、そう告げる羽衣の様子に優志はくすくす笑い
「判った、判った……南瓜は1つで良いんだろう?」
 そう返しながら、南瓜を1つ羽衣の前に置いた。
「ありがとー!なのですよっ!」
 元気の良い笑顔を弾けさせてそう答えると羽衣は優志と並んで南瓜のプリンの作成に取りかかるのだった。

 30分後―――

 部室に漂い始めた甘い香りに、羽衣はそわそわと電子レンジの前を行ったり来たり。
 そんな姿に優志はくすくすと笑うと綺麗に片付けられた作業台にカップを1つ置いた。
「うろうろそわそわした所で時間が短くなるもんでもないだろう?雪片。これでも飲んでもう少し待ってろよ」
 置いたカップを指差して優志がそう告げると羽衣はぱたぱたと作業台まで駆け寄り、近くにあった椅子を引き寄せるとちょこんと腰を下ろしてカップを両手で包み込む。
 カップを満たす琥珀色の液体を覗き込むと緩やかに立ち上がる湯気と共に広がる香りににへらと笑った。
「ホットアップルティだっ!」
 そう言い当てて、優志が『ああ』と応えると満足そうにふぅふぅと息を吹き掛けて冷ましに掛かる。
 その様に優志は小さく笑うと、そっと羽衣の近くに先程焼き上げたばかりのパンプキンクッキーを数枚載せた小皿を置き、自分の分のアップルティにそっと息を吹き掛けた。
 置かれたパンプキンクッキーに羽衣はやはりふにゃりと笑うと一枚ぱくりと口に含んで噛み砕く。
 サクサクの食感にバターの香りとしっかりと甘い南瓜の味。
 幸せそうに小皿の上のクッキーを平らげた羽衣は、平らげてから眉を寄せた。
「……太っちゃう!」
 眉を寄せた事に気付いた優志がどうしたのかと尋ねるよりも前に羽衣はそう訴えてくる。
 女の子らしいのだろう、その言葉に優志はくすくす笑うしかなかった。
「何で笑うのーっ?!羽衣には大変じゅーよーな問題なのにっ!」
 羽衣のその訴えに優志はすまんすまんと一頻り詫びた後、小さく笑う。
「雪片も女の子だなぁって思ってな」
 優志の言葉に羽衣はきょとんとした顔をした後
「そーですよー?羽衣は女の子ですよー!」
 と素直に返した。
 そして
「だから、太っちゃうかどーかはとってもじゅーよーな問題なのですっ!」
 とも続ける。
 その言葉に優志は肩を竦めて
「そんなもんかね?」
 とだけ返すと電子レンジの様子を覗き込んだ。

 

 ハロウィン前夜のちょっとしたお話。

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